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「分人」by平野啓一郎氏

数年前に週刊連載されていた平野啓一郎氏の小説「空白を満たしなさい」に出て来る「分人」という概念には当時大変興味を引かれましたが、その平野氏が「分人」について語るという触れ込みの講演会があったので行って参りました。

そもそも「分人」とは、個人indivisual(これ以上分割出来ない、の意)のin(出来ない、の意)を取ったdivisualに相当する概念だそうで、要は、私という個人の中に「家族といるときの自分」「恋人といるときの自分」「同僚といるときの自分」「嫌いな人といるときの自分」…といった何人もの自分がいると仮定する考え方をいいます。そして、それぞれの分人は、例えば妻に対する分人はものすごく大きく、中学時代の同級生Aに対する分人はものすごく小さく、それぞれが時間の経過によって大きくなったり小さくなったりします。

そう仮定することでどのような利点があるかというと、例えば、「今いじめられていて辛い・死にたい」というような状況下でも、そう感じているのは自分の中のたったひとつの分人だと考えることでこころが受ける打撃を和らげることが出来る…どうでしょう、主旨は御理解いただけるでしょうか?

時事的な話をすれば、いわゆる「就活自殺」などというものをなくすヒントになるのではないかと。「不採用通知」が来る度に全人格を否定される気持ちになっていてはそりゃあ死にたくもなりますよ。でも、この分人という概念に基づけば、たかが就職試験で否定された自分は数多ある分人の中のたったひとつに過ぎない、と考えられるのです。

ある意味、これは現代日本における「心的構造論」に相当するものではないかと(褒め過ぎ?)。

真面目な話、このストレス社会を乗り切るためのひとつのツールとして活用出来る可能性を充分に感じたのですが、皆さんはいかが思われますでしょうか?

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コメント 14

きゅんぱち

 興味深い見立てですよねぇ。
 自分自身を分析するときには外せない見立てだと思いますよ。
 先生のおっしゃる「自分」を「能力」に置き換えるとわかりやすいかもしれませんね。能力にも様々な種類があるわけですから。
 ある能力を他人からでも会社からでも否定されたとする、であればその能力を持っている人と仲良くなってうまく利用すれば済むだけの簡単な思考に持っていくことができますと気がラクになるはずですけどもね。

  すべての人と良好な人間関係を保つ。
  すべてのスペシャリストを集めたゼネラリストでありつづける。

 こんなもん、ありえっこないっすよ(苦笑)。
 もし、コレが達成できた人がいたなら、そういう人こそ「変人」なんじゃないかしら(爆)。
 ありえっこないものは目標になんかしないことに越したことはございませんですよねぇ。
 記事にあるような例ですと、

  嫌われている→実はやっかまれるに値する資質がある
  志望企業からの不採用通知→そういう会社をコキ使ってやる立場になる

 そう思って「フン!」と鼻で笑ってやればいいんじゃないかなと思いますよねぇ。
 さすれば、ストレスを溜めずに済むと思うところなんですが、いかがでございましょうか?
(^O^)
by きゅんぱち (2014-10-11 20:10) 

SpeedBird

なるほど確かに他人が理解してくれるのは自分のうちの一部分(逆もまた然り)、ですもんね。それが全てではないことをうまく説明する方法でもありますね。

by SpeedBird (2014-10-12 15:50) 

okko

口にしたり書いたりすれば、簡単なことなんですけど、なかなか実際に出来ることじゃないと思います。それが理解できるような人ばかりだったら、世の中の悲劇や、自己嫌悪に陥って自殺したりする人はゼロになるでしょうけど。本当に読んで貰いたい人は、この種の本は、まず読まないと思います。
それが困惑するところです。半分、開き直って、自分の長所を見付けるのは至難の業かも知れません。
by okko (2014-10-13 15:38) 

Loby

分人...
なかなか興味深いコンセプトですね。
やはり専門家の方からの分かりやすい説明を読むと
より理解しやすいです^^b

by Loby (2014-10-14 08:01) 

Baldhead1010

すみません。

indivisual・・・・individual

ですね^^・・・いわゆる、「個」たる人格ですね。
by Baldhead1010 (2014-10-16 20:12) 

ナビパ

シンプルに分かりやすかったです。分人は多ければ多いほど良さそうな気がしますが。。。どうなのでしょう。?
by ナビパ (2014-10-16 20:28) 

Baldhead1010

個性と人格。
individualityとpersonality、後者が分人の集合で、いわゆる見かけの「人となり」でしょうね。

前者は、その人ずばり、その人の魂の本質ですネ^^
by Baldhead1010 (2014-10-16 21:01) 

トモミ

*きゅんぱっつぁん…有難うございます。日々、雑多なストレスにやられている身としては、いろんな考え方を知る、というのはそれだけで意味がある気がします。
by トモミ (2014-10-18 09:29) 

トモミ

*SpeedBirdさん…全くもっておっしゃる通りと考えます。よくこんなこと、思いつきますよね。ダテに京大は出ていない?関係ないか(笑)。
by トモミ (2014-10-18 09:31) 

トモミ

*okkoさん…私もくだらんことで落ち込んだりよくあります。専門家の端くれでも、そんなもんです。日々是修行!頑張ります!!
by トモミ (2014-10-18 09:33) 

トモミ

*Lobyさん…有難うございます。ほんと、面白いですよね、考え方のひとつとしては、おおいにアリだと思うのです。
by トモミ (2014-10-18 09:34) 

トモミ

*Baldhead1010さん…御指摘、有難うございます。divisionという名詞があるので全く疑いもしませんでした。考えてみれば動詞はdivideですもんね。
by トモミ (2014-10-18 09:36) 

トモミ

*ナビパさん…いい悪いではないのかも知れませんが、分人が少ないということは接した人(人生経験)が少ないということにはなるかも知れません。平野氏に直接意見を聞きたいところですね。
by トモミ (2014-10-18 09:37) 

トモミ

*Baldhead1010さん…平野氏としては、その「本当の自分」的なものを否定する概念として「分人」を考えついたようです。ってことはBaldさんがおっしゃっていることと本質的には同じということでしょうか?
by トモミ (2014-10-18 09:40) 

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